【お役立ちメニュー】太陽光発電を設置することの問題点ブログ:17-12-11
幼かった女の子が大好きだったもの、
それはあたしの「耳たぶ」。
甘えたい時、眠い時、不安な時…
いつだって女の子はあたしの耳たぶを求めた。
小さく温かい指で触れられると、
とてもくすぐったかった。
それでも、何だかほんのり心地良くって、
ついついあたしの方が先に眠りこんでしまうこともしばしばあった。
あるばんのこと。
いつも女の子の右側で寝ていたあたしは、
たまたま左側で眠っていた。
女の子が動く気配で目が覚めると、
女の子が右側にいる夫の方に転がっていくのが目に入った。
そして夫の耳たぶを触り始めたのである。
あれ?と思った瞬間、女の子の手がとまり、
目がはっと見開かれるのが分かった。
右、左、ときょろきょろ頭を動かすと、
あわててあたしの方に寄ってきて、
耳たぶを触り始めたのである。
女の子は、あたしと夫をまちがえたのだ。
でも耳たぶの感触ですぐに気づいたのだろう。
安心しきった女の子の寝顔を見ながら、思わずふきだしてしまった。
女の子に耳たぶをゆだねている時は、
なぜか母乳をあげていた時と同じ気持ちになれた。
求められる嬉しさ、ママとしての喜び、
無垢な優しさがじんわりと胸に広がっていく…
けれど、女の子はあたしの耳たぶを卒業してしまった。
遠慮がちに触っているなぁと感じるようになったあるばん、
触りやすくしてあげようと頭の向きを変えた時、
女の子の指がふと離れた。
そしてそれ以来、
女の子の指があたしの耳たぶに触れることはなくなってしまった。
「耳たぶなんて覚えてないよ」と八才になった女の子は笑う。
それでも、あたしは決して忘れないだろう。
あの頃耳たぶに感じていた小さなぬくもりを…
ささやかな幸せの一時を…